おしえて!瀬川さん<br>家族が認知症になったら、どう接すればいいの?
2016.10.01  |  

おしえて!瀬川さん
家族が認知症になったら、どう接すればいいの?

■ 認知症のひとの世界に付き合う

 

杏:この前「長いお別れ」という認知症を患った男性とその家族を描いた小説を読みました。2025年には認知症患者は700万人以上になると言われているし、他人事じゃないなあと思いました。

瀬:そうね。今日は、親や家族が認知症になったときの関わり方についてお話しましょうか。

杏:わたしはまだ身近に認知症のひとはいませんが、知っておきたいです。

瀬:認知症のひとは短期記憶がなくなるのが大きな特徴ですよね。だからついさっきご飯を食べたのに「まだご飯食べてない」「いや、さっき食べたでしょう」というやり取りが生まれる。でも、物事の事実関係は忘れてしまっても、その時感じた感情は心に長く残っているそうなんです。

杏:へえ、そうなんですね。

瀬:家族の誰かが認知症になったら、相手が生きている世界、相手にとっての事実を認めて付き合っていくことができたらお互いにストレスが溜まらないと思うの。

杏:え、認知症のひとに合わせるということですか?正しいことを言ったり、相手を説得するんじゃなくて。

瀬:そう。「ご飯を食べてない」と言われたら「そっか、まだご飯を食べてないんだね」と返した方が相手は分かってもらえたと感じてほっとするのよ。

杏:そうなんですか。

瀬:認知症のひとが徘徊して「早く帰らなきゃ、ご飯の支度しなきゃ」と言うとき、そのひとは幻想の世界に生きているのね。

杏:はい。

瀬:それに対して「何言ってるの、ここは病院じゃないか」と怒ったり説得したりするんじゃなくて、相手の世界に付き合い、相手にとっての現実を認めることで、安心感が生まれるのだと思います。


杏:具体的にはどんなふうにですか?

瀬:たとえば「早く帰らなきゃ、ご飯の支度しなきゃ」と相手が言ったら、「早く帰ってご飯作らなくちゃと思ってるんだね」と言ってあげると落ち着くんです。「大丈夫だよ。ここは専門でご飯作ってくてる人がいるから、心配しなくていいんだよ」と言うと「そうかい」の一言で済んじゃったりするんですよ。

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■ 安心と信頼を感じてもらえるような言葉がけを

 

杏:つい現実の世界に引き寄せたくなりそうですけど、そこは抑えるんですね。

瀬:自分の気持ちを抑えるというより、相手の世界に寄りそう感じかしら。介護現場ではそうやって「能動的な聞き方」をすると相手が落ち着く事例がたくさんあるのよ。 

杏:「能動的な聞き方」って、なんですか?

瀬:相手の言うことに対して、「わたしはこう理解しましたよ、この理解であっていますか?」と確認する聞き方のことです。こういう聞き方をしてもらえると、認知症のひとは自分の言ったことをわかってもらえたと感じて落ち着くのね

杏:「ご飯をまだ食べてない」と言われたら、「何言ってるの、さっき食べたじゃない」とつい返してしまいそうですが…。

瀬:そうね。相手は食べたことをすっかり忘れている訳ですから、自分の現実を否定されると、「まだ食べてない!」ともっと言いたくなってしまうの。自分に置き換えて考えたら、私が現実だと認識していることを否定されたら、認知症ではなくても抵抗や反発がしたくなりますよね?

杏:そうですね、頑張って抵抗しちゃうかも。

瀬:認知症の方は、自分を理解して接してくれる人を頼りにしています。『この人に全て任せておけば私は大丈夫だ』と安心感と信頼感をもつことができれば、不穏や暴言などの様々な周辺症状も軽減することが実証されています。

杏:認知症の方が「理解してもらえた」という安心と信頼を感じられる会話をすることが大事なんですね。

瀬:そうです。

今日のまとめ

1. 家族が認知症になったら、相手の生きる世界に付き合い、相手にとっての現実を認めてあげる
2. 認知症の方に「理解してもらえた」という安心感と信頼感を感じてもらう会話をする



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中村 杏奈

「famitalk」を家族の絆を深めるアプリへと育て広める志をもち、新卒で入社した第一号社員。幸せな家庭をもつことが夢の一つ。

瀬川 文子

継母としての子育て経験を通し、お互いが分かり合えるコミュニケーションの大切さを、講演、研修、著作で伝えるコミュニケーションインストラクター。

 

 

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